テキーラができるまで

テキーラができるまで

テキーラはサボテンから作られるとよく言われますが、実は違います。テキーラの原料は「リュウゼツラン(龍舌蘭)」といいアロエに近い植物です。英語ではBlue Agave、メキシコではMaguey、正式名称はagave azul tequilana weber。この品種を株分けして育てていきます。花も咲きますが60年間育て続けて一度しか咲かないと言われ、他品種をの交配を避け、種の純粋さを完全に守るためにも株分けという方法が採られています。

▲アカヴェの赤ちゃんイフェロス

ブルーアガヴェの赤ちゃん「イフエロス」を畑に2m間隔で植え、最低でも6年、長いところでは10年以上もかけて育てていきます。根の部分は糖分をいっぱい蓄え40kg前後まで育ち、パイナップルを大きくしたような形なので「ピニャ」と呼ばれます。
これが赤ちゃん これから植えていきます

▲見るからに腰が入っていません コアはかなりの重さ

その巨大なピニャを「コア」と呼ばれる長い棒の先に刃が付いた道具を使って掘り起こす人がヒマドールです。ヒマドール達は1株をわずか1分足らずで収穫してしまいますが、私は汗だくで10分以上かかりました。収穫作業は朝から晩まで続きます。
掘り起こして皮を剥いたピニャ

▲巨大圧力窯のアウトクラベ 現在の主流です

収穫したピニャはまず加熱されます。加熱には古典的なレンガ作りのオーブンを使い48時間ほどかけて蒸しあげさらに丸2日かけて冷ます方法と、アウトクラベと呼ばれる巨大な圧力窯で、6時間ほどで蒸しあげてしまう方法があります。
オーブンもまだ多く残っています

▲アガヴェを効率良く絞るシュレッダー

蒸されたアガヴェは粉砕されて絞られます。昔は「タオナ」という大きな石臼を使用していましたが現在では3か所を残すのみ。ほとんどの蒸留所でシュレッダーで粉砕しています。ここで加水されますが良水を追求し浄水槽を備える蒸留所もあります。
クエルヴォ博物館で見た年代物のタオナ

▲絞り汁はモストと呼ばれ発酵に入ります

▲単式蒸留器

▲この樽はケンタッキーのジムビームから

粉砕されたアガヴェの汁はモストと呼ばれ、タンクに移され発酵に入ります。自然発酵にこだわる蒸留所もあれば、代々伝わる秘密の酵母を使用する蒸留所、またワイン用の酵母、パイナップル酵母、パン用の粉末酵母、乳業会社経営の蒸留所ではヨーグルト酵母まであり、この酵母の種類の多さがテキーラの世界をとても面白くしています。発酵には3日ほどかけるところが一般的ですが、発酵日数が長いとバターのような香り、短いとパイナップルの香りがテキーラに現れます。昔は発酵槽の中に全身の毛を剃って海パン1丁になった人が入ってグルグル混ぜる方法もあったようですが、現代の発酵槽はかなり大型なのでそんな事をしたら酒に溺れてしまうでしょう。

発酵が進みアルコール度数が7%ほどになったところで単式蒸留機で蒸留を2回(かそれ以上)行います。最初に出るヘッドと後のテールは味が悪いので5%づつほどカットして捨てます。2回の蒸留が終わるとアルコール度数は50%台になっています。 これにフィルターをかけて加水したものがブランコのテキーラです。このページタイトル画像のようなボデガと呼ばれる熟成庫で最低60日間樽で熟成させたものがレポサド。1年以上寝かせたものがアネホ。3年以上がエクストラ・アネホです。

樽にも非常に多くの種類があります。最も一般的なのがケンタッキーから分解せずに陸送した中古のバーボン樽。エヴァン・ウィリアムス、I.W.ハーパー、テネシーからジャックダニエルズの樽をよく見かけます。「ウチはジャックしか使わない」というように単一の樽にこだわる蒸留所、いろいろな中古樽をブレンドする蒸留所、最後に違う種類の樽でフィニッシュするなど様々です。最近はライ麦を使わないメーカーズマークの樽でソフトに仕上げるのがトレンド。他には新樽も多く、フレンチオークもよく見かけます。変わったところではフランスからのコニャック樽、スペインのシェリー樽、カリフォルニアワイン樽、リチャー(再火入れ)したワイン樽など。これらは非常に面白いのですが商品ラインナップが流動的なこともあり、テイスティングノートや講習会にて説明していきます。